アフリカ系アメリカ人、女流詩人／文芸教論家／教育者のサラ・ウェブスター・ファビオ（1928-1979）。彼女は1960〜70年代初頭にかけて台頭したブラック・アーツ・ムーヴメント（アフリカ系アメリカ人の芸術／文芸推進運動）の渦中で、合衆国西海岸地域における黒人芸術運動の樹立および黒人文化研究を一つの学問分野として確立することに成功し、〈黒人文化研究の母〉と称えられた人物でした。詩人、パフォーマー、学者、教育者、文化評論家として、夥しい数の詩集を出版し、Black WorldやBlack Scholarといった重要出版物にも寄稿、さらにはフォークウェイズより４枚のアルバムをリリースしています。 今回ご紹介するのは、サラが強力なジャズ・ファンク・サウンドに合わせてアフリカ系アメリカ人の歴史、黒人としての経験をポエトリー・リーディングした1976年の名盤“JUJUS - ALCHEMY OF THE BLUES”です。彼女名義の作品としては３作目となる同作品は、オリジナル・リリースから数十年後にレア・グルーヴ・コレクターたちによって再評価。10万円以上の高値で取引されるなど、まさに〈伝説の一枚〉となりました。中でも同アルバムに収録された‘SWEET SONGS’や‘ALCHEMY OF THE BLUES’はディープ・ファンク／ブラック・ジャズ系DJたちの大人気フェイヴァリット・チューン。サラのソウルフルなポエトリー・リーディングに合わせ、コンガやグルーヴ感あふれるドラム・サウンド、ファンキーなベース・ライン、シャープなカッティングのギター・サウンドやジャジーなフルート演奏などが渾然一体となって作り出す70’ｓディープ・ファンク・サウンドは、ありとあらゆるブラック・ミュージック・ファンたちを魅了してきました。 強烈なグルーヴにのせ、淀みなく知性を言語化していくサラのポエトリー・リーディングを支えるのは、エレクトリック・ベース担当のロナルド・ファビオ、ドラムズ担当のローレンス・E・ヴァーン、ピアノ／フルート／ソプラノ・サックス／テナー・サックス／アルト・サックス担当のデニアンケことレオン・ウィリアムズ、ナレーション担当の：トーマス・アルバート・ファビオ。ジャズ、ジャズ・ファンク、ソウル、ブルース、そしてプリミティヴなアフリカン・ビートに至るまで、ブラック・ミュージックが最高にファンキーだった時代の、珠玉のソウル・エッセンスが止めどなく炸裂します。説明不要とも言えるほどの、ブラック・ミュージック・ファン必携の大名盤。是非、ご注目ください！
トラックリスト 1. The Hand That Rocks 2. Sweet Songs 3. Juju for: Grandma 4. Chromo 5. Still, a Red Hot Axe 6. If We Come As Soft Rain 7. Jujus/Alchemy of the Blues 8. Jujus/Alchemy of the Blues (Instrumental)
2024年10月20日発売 SARAH WEBSTER FABIO / JUJUS: ALCHEMY OF THE BLUES
