アフリカ音楽とニューヨーク・サルサのコラボ・プロジェクト〈アフリカンド〉のリード・シンガーとしてもお馴染みだったベニンの伝説的歌手:ニョナス・ペドロ(1943-2004)は、同国南西沿岸部モノ県ロコッサで誕生。元々はダンサーを志していましたが、60年代には音楽家へと転身、キャリアの中で出身地方の伝統的音楽〈アバジャ〉のモダン化にも成功し、〈モダン・アバジャの王〉と呼ばれた人物でもありました。 ペドロはそのキャリア初期において、ラテン/カリブからの音楽的影響を反映させたバンド〈ペドロ・イ・スス・サンチョス・デ・コトヌー〉を結成。同バンド名義で67年代にリリースした’Dadj Von Von Non’はヒットを記録しました。その後メンバーの一部入れ替えを経たのち〈ニョナス・ペドロ&ヒズ・ダジェス・バンド〉としてバンドを再編成。ペドロは同バンドにおいて〈アバジャ〉の音楽要素を大々的に導入しました。この〈アバジャ〉とはベニン南西部、トーゴ南部、そしてガーナで継承される伝統的なダンスの一形態。元来は戦争に出陣する戦士たちを励ますための、あるいは戦後に勝利を祝うための舞踏として存在していましたが、やがてはレクリエーション・ダンスへと発展していき、葬儀、結婚式、パーティなどの場で演奏されるようになりました。様々な太鼓、ベルやガラガラ、手拍子などによるパーカッシヴな演奏に、西アフリカで広くみられるコール・アンド・レスポンス形式の歌がのせられるというのが、このアバジャの基本的なスタイルとなります。ペドロはこのアバジャを現代化し〈モダン・アバジャ〉と命名。以降、彼は〈モダン・アバジャの王〉と呼ばれるようになり、ベニンにおけるスーパースターとして成長していきます。また、アバジャのみならず、ラテンやハイライフといった様々な音楽要素が盛り込まれた独創的な楽曲群や、ミナ語、アジャ語、ヨルバ語、フランス語、英語、スペイン語など、多言語による歌唱も大きな評判を呼ぶようになりました。その後は国営ラジオを通じて西アフリカ広域における名声を獲得。また、1980年代に入るとマンボの名曲のモダン・アバジャ・カバー’Yiri Yiri Boum’がベニンにおいて大ヒットを記録し、同時期には自主レーベル「Gnoinsop」も設立、この頃にはベニンにおける最も重要なアーティストの 1 人としての地位を固めています。 本作は70年代中盤から80年代前半にかけ、アフリカ大陸全土に響き渡った選りすぐりの楽曲16曲を収録。モダン・アバジャ・サウンドはもとよりのこと、キューバのソンをはじめとしたラテン〜カリブ音楽、ジャークをはじめとしたダンス音楽要素、そしてハイライフといった多彩なリズム/多言語をブレンドしたユニークな楽曲が並びます。もちろん今回もアナログ・アフリカならではの8ページのフルカラー・ブックレットを含む豪華ゲートフォールド仕様!是非ご期待ください。
トラックリスト A1. Dadge Von O Von Non 83“ A2. Azo Nkplon Doun Nde A3. Mo Ngbadun Re A4. Fini Les Pavs B1. Feso Jaiye B2. Adigbedoto B3. Tu Es Tout Seul B4. Yiri Yiri Boum C1. Agbadja Moderne N°2 C2. Manzanillo C3. L‘Indomptable Gnonnas C4. Bailando Mi Solo D1. Gbeto Enon Mon D2. El Cochechivo D3. Ati Mawuin Dagamasi D4. Avivogbe
2025年2月9日発売 GNONNAS PEDRO & HIS DADJES BAND / ROI DE L'AGBADJA MODERNE 1974-1983