イラク・バグダッド出身のアイダ・ナディームは、湾岸戦争中だった1991年に祖国を離れデンマーク・コペンハーゲンに移住。その地の王立音楽アカデミーで音楽を学ぶ傍ら、自身のバンド《Arabian Underground》でステージに立つようになった彼女は、2005年に初のソロ・アルバム『Out of Bagdad!』をリリースし、注目を集めるようになった。そして2作目として発表し欧米でヒットとなった『Beyond Destruction』をトルコ市場向けに再編したのが本作。ここで彼女は故郷のイラクで培った伝統的なアラブ音楽と、西洋由来のエレクトロニック・デヴァイスを巧みに融合させた《アラブトロニカ》と呼ばれる独自のスタイルを披露。アラビックな旋律や伝統楽器、エキゾティックなヴォーカルに抽象的なエレクトロ・サウンドを織り交ぜたその音楽性は、その後一般的となるボーダレスなサウンドを先取りしている。