ムラトゥ・アスタトゥケと共にエチオ・ジャズという音楽を世界中に知らしめた人気サックス奏者がゲタチュウ・メクリヤ(1935-2016)。幼い頃よりエチオピアの伝統楽器の演奏を修得し、後にサックスやクラリネットといった管楽器へと移行。数々の人気グループや重要アーティストと関わりを持ってエチオピア大衆音楽の興隆に大きく貢献した彼が、1972年に発表した最高傑作『Negus of Ethiopian Sax』にボーナス・トラックを加えたのが本作だ。ここでメクリヤは戦闘に向かう戦士たちが歌う「シェレラ」という伝統的なヴォーカル音楽をサックスで表現。フリー・ジャズやソウル・ミュージックを彷彿とさせつつ、演歌にも似たアクの強いエチオピア音楽らしさを、エキセントリックかつ独創的に聴かせる。これぞエチオピーク・シリーズの名盤中の名盤だ!