1971年にカサブランカで結成されたナス・エル・ギワンは、当時「モロッコのビートルズ」との異名をとったほど人気のグループだった。モロッコを代表するスーフィー系音楽《グナーワ》を中心とした同国の伝統音楽をベースに、バンジョウなどの西洋楽器を加えてモダンナイズしたそのサウンドに当時多くの若者たちが虜となった。そんな彼らがかつてフランスのレーベル BUDA MUSIQUE から『CHANTS GNAWA DU MAROC』というタイトルでCD発売した作品がこの度アナログ盤として復刻された。ここでは彼らのパブリック・イメージであるポップな音楽スタイルとは異なる、伝統色の濃いグナーワを聴かせている点が大きな特徴で、ゲンブリ(低音弦楽器)とカルカベ(鉄製カスタネット)の演奏をバックに、陶酔しきったヴォーカルをジックリと楽しむことができる。