音楽の街として知られるアメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズ。米国のなかでも独自の音楽スタイルやシーン、そして古い歴史をもった同地は、一部音楽ファンにとって憧れの地、聖地でもあります。ニューオーリンズ名物と呼ぶことのできる音楽はいくつも存在しますが、中でも絶対にはずせないのが〈セカンド・ライン〉と呼ばれるブラスバンドを伴うパレード。同パレードを牽引するブラスバンド特有のグルーヴ感は、同地発祥であるジャズやR&B、ファンク、ロックンロールなどの中にも導入されていきました。そんなニューオーリンズ・ブラスバンドの伝統継承を担い、その魅力を現代に伝え続けているのが、今回ご紹介するニューオーリンズ屈指の人気ブラスバンド:リバース・ジャズ・バンド(1983〜 /現バンド名:リバース・ブラス・バンド)です。 リバース・ジャズ・バンドは、音楽の盛んなトレメ地区(6番街区)に位置するジョセフ・クラーク高校のマーチング・バンドに所属していた3人の高校生(トランペット:カーミット・ラフィンズ/スーザフォン:フィリップ・フレイジャー/バスドラマー:キース "ショーティ" フレイジャー)を中心に、1983年に結成されました。結成当初はチップを稼ぐために、フレンチ・クォーターのバーボン・ストリートで演奏。「聖者の行進」「マルディグラ」「ビッグ・チーフ」などといった伝統的なナンバーをレパートリとしていましたが、やがてはジャズ・テイストを導入したブラスバンドの先駆的存在であるダーティ・ダズン・ブラス・バンドに倣い、R&B、ファンク、ヒップホップへとジャンルを広げていきました。 瞬く間に注目を集めた彼らは、結成の翌年にあたる1984年に、トレメのノース・ロバートソン・ストリートにあるグリース・ラウンジ(現:キャンドルライト・ラウンジ)において、デビュー・アルバム『Here to Stay』をレコーディング。プロデュースは、ニューオーリンズにある非営利運営のコミュニティーFM局:WWOZ-FMの創設者であるジェリー・ブロックが担当することとなりました。 レコーディング・メンバーはキース・フレイジャー(バスドラム/シンバル)、ケネス・オースティン(スネアドラム)、キース・アンダーソン/レジナルド・スチュワート(トロンボーン)、フィリップ・フレイジャー(チューバ)、そしてトランペットはガードナー・レイ・グリーンとカーミット・ラフィンズ(レコーディング時のメンバーの年齢は15〜19歳)。そのサウンドには、伝統的なジャズ、ビッグバンド・ジャズ、ビバップ、コンテンポラリー・ジャズなどに加え、ディスコ、カリビアン・ジャズ、マルディグラ・インディアン、ゴスペル、ブルース、そしてニューオーリンズのセカンド・ライン・ストリート・ファンクといった多種多様な音楽要素が組み込まれており、ブラスバンドの伝統を踏襲する一方で、いかにも若者らしい、フレッシュで革新的な精神と遊び心も同時に感じ取られます。収録されている楽曲も、伝統的なマルディグラ/セカンドライン・ナンバーに加え、ジャズ・ピアノの巨匠:セロニアス・モンクの名曲「ブルー・モンク」(1954年)、ハービー・ハンコックが1973年にリリースしたジャズ・ファンクの人気ナンバー「カメレオン」などのカヴァーも収録。その後グラミー賞受賞をはじめ、数々の栄誉に輝くことになるヴェテラン・ブラスバンドの最初期における活きいきとしたパフォーマンスをたっぷりと楽しむことができる一枚です。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Mardi Gras Medley 2. Chameleon 3. Lord, Lord, Lord, You Sure Been Good to Me 4. Blue Monk 5. It Ain't My Fault 6. Shake Your Booty 7. Sweet Georgia Brown 8. The Law 9. Let's Tear It Up 10. Here to Stay (P.I.E.)
2026年3月1日発売 REBIRTH JAZZ BAND / HERE TO STAY: LIVE AT THE GREASE LOUNGE, 1984: THEIR FIRST RECORDING