アメリカとメキシコの国境地域、テキサス州サンアントニオ出身のアコーディオン奏者/歌手:フラーコ・ヒメネス(19392025)。彼は、同地で誕生したメキシコ系住民の民俗音楽〈テハーノ・ミュージック〉(メキシコのノルテーニョやランチェーラに、ドイツ系移民が持ち込んだポルカ、ワルツなどが融合した音楽)や、メキシコ北部の民俗音楽〈ノルテーニョ〉(チェコ移民のポルカとメキシコの土着音楽が結びついて誕生)の世界的な名手として知られています。 ローリングストーン誌のジョー・ニック・パトスキーは、そんな彼の演奏を「アコーディオン界のチャック・ベリーだ!」と形容して絶賛し、あのライ・クーダーも深く心酔していました。今回は、そんなテックス・メックスの英雄であるフラーコの、まさにベスト・オブ・ベストとも言うべき一枚『ザ・ベスト・オヴ・フラーコ・ヒメネス』(オリジナル・リリース:1999年)をご紹介します。 フラーコはわずか7歳でアコーディオン奏者としてのキャリアを開始。1950年代からは父親のサンティアゴ・ヒメネス・シニアのバンドと共にツアーやレコーディングを行い、奏者としての評判を高めていきました。1960年代に入ると、同郷のテックス・メックス・ロック・バンド:サー・ダグラス・クインテット(1964〜99)のリーダーであるダグ・サーム(1941-99)との共演を開始。その後ニューヨークにも進出し、ボブ・ディランやドクター・ジョン、ライ・クーダーなど、ジャンルを超えたミュージシャンたちとの共演でも知られるようになっていきます。 その結果、アメリカ=メキシコ国境のルーツ・ミュージックの知名度を拡大させ、新たな聴衆を生み出すことに大きく貢献しました。1987年開催の第29回グラミー賞では〈Best Mexican-American Performance〉を受賞。さらに1989年には、ダグ・サームやフレディ・フェンダーらと共に、メキシカン・スタイルの音楽とロック、カントリーを融合させたスーパーバンド:テキサス・トルネイドズを結成します。1991年には同グループの活動において、再びグラミー(Best Mexican-American Performance)の栄冠に輝きました。その後も1996年、99年にフラーコ個人としてグラミー賞(Best Mexican-American/Tejano Music Performanceなど)を受賞。2012年には国家遺産フェローシップ(米国における人間国宝に該当)も授与されています。 今回ご紹介する『ザ・ベスト・オヴ・フラーコ・ヒメネス』は、米国のルーツ・ミュージックを専門とする老舗レコード・レーベル〈アーフーリー・レコーズ〉に残されたフラーコの音源から、選りすぐりの名曲をコンパイルした一枚。彼の名演を代表するポルカ、ボレロ、ウワパンゴ、クンビア・ナンバーが全16曲収録されています。もちろん、父親サンティアゴ・ヒメネス・シニアの名曲(「Ay Te Dejo en San Antonio」や「Un Mojado Sin Licensia」)や、ライ・クーダーとの共演によるインストゥルメンタル曲(「Poquita Fe」)などといった大人気ナンバーも網羅されています。 フラーコ、あるいはテハーノ・ミュージックの入門編としてもまさにうってつけな一枚。ルーツ・ミュージック・ファンの皆様はぜひ、お楽しみに!
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Ay Te Dejo en San Antonio 2. La Tumba Sera el Final 3. El Guero Polkas 4. Cuando Mas Tranquila 5. Poquita Fe 6. Negra Traicion 7. Juarez 8. Gritenme Piedras del Campo 9. Un Viejo Amor 10. Por una Mujer Casada 11. La Paloma 12. No Seas Tonta Mujer 13. The Free Mexican Airforce 14. Spanish Eyes 15. Las Gaviotas 16. Un Mojado Sin Licencia
2026年10月18日発売 FLACO JIMENEZ / THE BEST OF FLACO JIMENEZ