ドイツのGlitterbeatのサブ・レーベルで、より実験的でマニアックな作品を紹介するtak:tilから、現在興隆をみせるロンドンのエクスペリメンタルなジャズ・シーンで注目を集めるユニット〈クロノノート〉の2020年作が登場した。ブライアン・イーノの2010年作『Small Craft On A Milk Sea』の参加で話題となったギタリストのレオ・エイブラハムズと、80年代よりECMレーベルで活躍してきたドラマー、マーティン・フランスを中心に、シャザド・イシュマリ(ベース)、マタナ・ロバーツ(サックス)、アルヴェ・ヘンリクセン(トランペット)といった豪華ゲストが参加している本作。ブライアン・イーノ&ジョン・ハッセルが提唱した第四世界音楽をさらに進歩させたサウンドを展開するなど、アンビエント・ミュージックとの繋がりも感じられるが、その一方でジャズ演奏家らしいインプロヴィゼーションやグルーヴィーなインタープレイも同時に披露するなど、リスナーを選ばないヴァーサタイルなエッセンスが随所に散りばめられている。先進的なフリー・ジャズ、そしてエクスペリメンタルなニューエイジ作品としても楽しめる。