ラテン・トリオとして輝かしい功績を残したトリオ・ロス・パンチョスにおいて、〈歴代最高のトップ・ボイス〉と賞賛されているのがフリート・ロドリゲスです。その彼がパンチョス脱退後、NYのラテン音楽レーベル“ANSONIA RECORDS”に自身のトリオ名義で残した録音を集めた国内制作の編集盤が、ラテン音楽ファン御用達レーベル“竹村オフィス=サンビーニャ”からリリースされることになりました。 1944年にデビューしたトリオ・ロス・パンチョスは50年代初頭に掛けて人気が沸騰、その彼らに続けとばかりラテン・トリオの結成ブームまで起こしたほどでした。そんな最中にトップ・ボイスのエルナンド・アビレスが51年に脱退、その後ボリビアの歌手ラウル・シャウ・モレーノが急遽加入するも、リーダー格のアルフレード・ヒルはその歌声に不満を持ち、プエルトリコの偉大な作曲家ラファエル・エルナンデスに後任のトップ・ボイスの推薦を仰きました。そこでラファエルが勧めたのがフリート・ロドリゲス・レジェス(1925 - 2013)でした。ラファエルが推薦しただけあってフリートの評判は上々で、それは初代のアビレスをしのぐほどでした。透明感と伸びのある彼の歌声は表現力もかなり秀でており、また彼が加入して最初に録音した「海と空」が大ヒットするなど、曲作りの面でも優れた才能を持っていました。しかし世界を舞台に駆け回るパンチョスでの活動が心労となったのか、フリートは公演中に胃潰瘍の発作で倒れてしまいます。この事をキッカケにパンチョスからの脱退を決めた彼は、かねがね注目していたレキント奏者のラファエル・シャローン、ギターとセカンド・ボイス担当のタティーン・バレを選んでトリオを結成。新たなスタートを切ることになりました。 本作はそのフリートが自身のトリオ名義でANSONIA RECORDSに残した音源を中心に構成。Julito Rodríguez y Los Primosと名乗り、1959年8月にANSONIAに第1作『Tu almohada きみの枕』を録音し、以後第2作からはJulito Rodríguez y Su Trio と改名して62年までに5枚のLPを残しましたが、ここではその中から23曲を厳選。まさに黄金時代の結晶と言える楽曲の数々を収録しています。選曲に当たってはラテンのスタンダード曲を中心にしていますが、「海と空」をはじめソングライターとしてのフリートの非凡さにふれられる「El Almanaque 暦」「Tu almohada きみの枕」「Otra historia de amor もう一つの恋の物語」等々のオリジナルも多数収録しています。なおフリートのパンチョス時代の録音からも3曲をボーナストラックとして収録しています。 ラテン音楽がもっとも影響力のあった時代の素晴らしい録音の数々。是非全ての音楽ファンに聴いて頂きたい作品です。
●選曲/解説:竹村淳
トラックリスト 01. Perfidia ペルフィディア 02. El amor de mi bohio ボイオの愛 03. Peregrina ペレグリーナ 04. Aquellos ojos verdes グリーン・アイズ 05. Amor, Amor, Amor アモール・アモール・アモール 06. Amar y Vivir 愛することと生きること 07. En mi viejo San Juan わが懐かしのサン・ファン 08. Tres palabras 三つの言葉 09. A la hora de acostarte きみが眠りにつく前に 10. El beso que te di きみにしたキス 11. Un regalo de Dios 神の贈りもの 12. Que lindo Acapulco なんてきれいなアカプルコ 13. El Almanaque 暦 14. Gotitas de dolor 苦しみの涙 15. Mar y Cielo 海と空 16. Frenesi フレネシー (熱狂) 17. Llora mas もっと泣いて 18. Una estrella en tus ojos きみの瞳に輝く星 19. Otra historia de amor もう一つの恋の物語 20. Tu almohada きみの枕 21. Mi destino わが運命 22. Amanece - Lamento jíbaro 夜明け~ヒバロの嘆き 23. Mensaje ことづて ◆Bonus Tracks 24. Herida de amor 愛の傷あと 25. Lo dudo ロ・ドゥード 26. Mi último fracaso 最後のあやまち
2021年2月28日発売 JULITO RODRIGUEZ Y SU TRIO / LA EPOCA DE ORO DE JULITO RODRIGUEZ Y SU TRIO “MAR Y CIELO”