弊社は今年よりポルトガル最古のレーベル:ヴァレンティン・デ・カルヴァーリョの作品の取り扱いを本格的に開始しました。すでに『コン・ケ・ヴォス』『ライヴ・イン・ジャパン 1970』『ファドはポルトガルの心(50周年デラックス・エディション)』といったヴァレンティン制作のアマリア作品をご紹介し、大きな反響を頂いてきました。そして今回5弾としてご紹介するのが、これまで一度も国内流通していなかったこのアルバム。1962年にリスボンの老舗劇場ティヴォーリ(Tivoli)で行われたファドの伝説的オムニバス・コンサートの模様を収録した作品です。 本作は1920年代より活躍してきた男性ファド歌手フィリペ・ピント(1905-68)へのそれまでの功労と敬意を表すため、1962年11月29日にティヴォーリ劇場で開催された式典の模様を収録した作品で、アルバムとしてはヴァレンティンから2015年に発売されました。ここには当時活躍していた有名なファド歌手たちが勢揃いし、ピントへのトリビュートの気持ちを込めた歌を披露しています。まずは優雅なファド・ヴォーカルを聴かせた男性歌手フェルナンド・ファリーニャ(1928-88)が登場し2曲を披露。そしてカルロス・ド・カルモの母としても知られる女性ファディスタ、ルシリア・ド・カルモ(1919-98)、ファドの王様(Rei do Fado)の称号が与えられたアルフレード・マルセネイロ(1888-1982)と続き、人気俳優ロジェーリオ・パウロの招きでフィリペ・ピント本人もステージに登場、代表曲‘Desespero’を披露して前半が終了します。 そして後半に入ると、すでに世界的な大スターとなったアマリア・ロドリゲス(1920-99)が登場し、なんとひとりで8曲も披露するという大盤振る舞い。ここでのギターラはアマリアの代表的ライヴ盤『カフェ・ルーゾ』『オランピア』で見事な演奏を聴かせていたドミンゴス・カマリーニャで、ヴィオラ(クラシック・ギター)とのシンプルな伴奏で、女王の歌声に寄り添ったアンサンブルを楽しませます。そしてコンサート当日の和やかな雰囲気が伝わってくる貴重な写真がブックレットに多数収録されているあたりは、ファド・ファンにはとても嬉しいところ。そこからはアマリアと他のファディスタたちとの関係性も窺い知ることができます。 当時のファド・シーンの状況を知る上でも重要な資料でもある本作。ファンならマストで手に入れてください。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト 1. Dois Fados 2. Guitarra Triste 3. Loucura 4. Cabelo Branco 5. Eterno Bailado 6. Olhos Garotos 7. Apresentao De Filipe Pinto, Por Rogrio Paulo 8. Desespero 9. Estranha Forma De Vida 10. Cansao 11. Madrugada De Alfama 12. Povo Que Lavas No Rio 13. Um Fado Nasce 14. Espelho Quebrado 15. L Porque Tens Cinco Pedras 16. Maria Lisboa
2024年12月29日発売 V.A. / TIVOLI 62 - ESPETACULO DE HOMENAGEM A FILIPE PINTO