弊社は2024年よりポルトガル最古のレーベル:Valentim de Carvalhoの作品の取り扱いを本格的に開始しました。すでに『コン・ケ・ヴォス』『ライヴ・イン・ジャパン 1970』『ファドはポルトガルの心(50周年デラックス・エディション)』といったValentim de Carvalho制作のアマリア・ロドリゲス(1920-99)作品をご紹介し、大きな反響を頂いてきました。そして今回7弾としてご紹介するのがこちら。すでにライス・レコードとしては3CDのスペシャル・エディション盤(VCR-45016)をご紹介していますが、こちらはオリジナル盤通りのストレート・リイシュー。もちろんCDではなくアナログでの再発となります。 ジャケットにアマリアの“Busto”(胸像)が描かれている事からそのように呼ばれている本作は、ポルトガル生まれのフランス人作曲家アレン・ウルマンとの出会いではじまった現代ファドの創造のスタート地点を告げる1962年の歴史的な1枚で、アマリアにとって最初のコンセプト・アルバムとして知られるなど、ファド新時代の幕開けに相応しい重要作とファンの間では見做されています。ウルマンとの共同作業は、アマリアの最高傑作と呼び声の高い69年の『コン・ケ・ヴォス』で頂点を迎えますが、まさに本作がその第一歩でした。ウルマンはここで2曲の伴奏でピアノを使用、そのことで当時賛否両論こそありましたが、それまでギターラ(ポルトガル・ギター)とヴィオラ(クラシック・ギター)で伴奏されてきたファドにモダンな響きを加えたことはかなり衝撃的でした。アマリアはファドを民衆音楽から芸術音楽にまで高めた歌手ですが、その始まりが本作だったと言っても過言ではありません。 本盤は2024年の4月にValentim de Carvalhoが発売したストレート・リイシュー盤で、もちろん最新のマスタリングが施されています。もちろんファド・ファンであれば絶対にコレクションに加えていただきたい最重要作だけに、CDでお持ちの方も是非アナログでもお聴き下さい。当時のファドの雰囲気は、やはりアナログ盤の方がよりストレートに伝わってきます。
●日本語解説/帯付き
トラックリスト A-1. Asas Fechadas A-2. Cais de Outrora A-3. Estranha Forma de Vida A-4. Maria Lisboa A-5. Madrugada B-1. Abandono B-2. Aves Agoirentas B-3. Povo que Lavas no Rio B-4. Vagabundo