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マリア・テレーザ・デ・ノローニャ/インテグラル(6CD+DVD+本)

価格:14,300円(税込)
メーカー型番:VCR-13007
メーカーURL:ライス(Valentim de Carvalho)

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説明
伝説のファド歌手ノローニャの豪華ボックス・セット、ついにライスとしてリリース決定!

 20世紀ポルトガルのファド史において、アマリア・ロドリゲスと並び称される存在として知られる名歌手、マリア・テレーザ・デ・ノローニャ(191893)。1918年にリスボンで生まれた彼女は、14世紀に起源を持つ王族ノローニャ家の血を引く貴族出身であり、その気品に満ちた立ち居振る舞いと澄んだ声の響きから、“貴族ファド”という異名でも知られています。音楽との出会いは早く、クラシック声楽の訓練を受け、教会合唱団を経て、やがて国立音楽院所長イヴォ・クルースが率いるアマチュア合唱団にも参加。宗教音楽の素養に裏打ちされた、その抑制された抒情表現は、のちのファド歌唱にも深く影響を与えました。
 1939年、ポルトガル国営放送「エミッソーラ・ナシオナル(Emissora Nacional)」でファドを初披露したことをきっかけに、本格的な放送活動が始まります。当時のポルトガルは独裁体制下にあり、ファドは政治的・文化的に複雑な位置づけに置かれていましたが、ノローニャの歌声はそうした文脈を超えて、清廉で静謐な芸術としてのファドを体現していたと評価されます。1940年代から50年代にかけてはスペインやブラジルでも公演を行い、国際的な注目を集めました。1947年にはジョゼー・アントニオ・ギマランイス・セロージオと結婚。サブローザ伯爵の称号を持ち、ポルトガル・ギターの奏者/作曲家でもあった彼との間に、音楽的パートナーシップも築かれました。
 録音活動はアマリアに比べてきわめて控えめで、SP、EP、LPといった限られたフォーマットに断続的に音源を残したのみでしたが、その歌唱には劇的な誇張を排し、節度と抑制の中に深い情感を湛えるという独自の美学が一貫して貫かれており、現在ではファド史に欠かせぬ存在として再評価が進んでいます。
 本作『インテグラル』は、そんなノローニャのすべての録音を初めて体系的に集成した真正コンプリート・ボックスです。ポルトガル最古のレーベル、Valentim de Carvalhoが彼女の生誕100周年にあたる2018年に制作したもので、SP、EP、LPに残されたスタジオ録音(CD1〜3/3枚組デジパック)、国営放送に残された放送用録音(CD4&5/2枚組デジパック)、1963年と1970年のライヴ音源(CD6/1枚組デジパック)、テレビ番組に出演した際の貴重な映像(DVD)という、計6枚のCDと1枚のDVDで構成されています。加えて、詳細な解説、写真資料、録音データなどを収めた豪華68ページのブックレットも付属。
 特筆すべきは、ファド研究者ヌーノ・デ・シケイラの尽力により、それまで一度も公開されたことのなかった初期音源や別テイクが多数収録されている点です。特に1939年に録音された最初期の歌唱が公式に収められたのは本作が初であり、“知られざるノローニャ”の原像に触れることができる貴重な機会となっています。音源はすべて丁寧にリマスタリングされ、戦前音源においても良好な音質で楽しめるのも魅力。
 彼女の歌唱は、しばしばモーツァルトのオペラに登場するヒロインのようだと評されます。大きな声や感情で圧倒するのではなく、あくまで静かな語りのなかに深い詩情を宿すそのスタイルは、ファドにおける詩的洗練の極致ともいえるでしょう。
 重厚な装丁、豊富な資料、そして徹底した音源の発掘と修復──『インテグラル』は、ファドの歴史的遺産を後世に伝えるための永久保存版。これまでノローニャに触れる機会のなかった方にも、すでにファド愛好者の方にも、心から推薦できる決定的作品です。

※付属のDVDはPAL方式です。日本国内の一般的なDVDプレイヤーでは再生できない場合がありますが、多くのパソコンでは視聴可能です。

●日本語解説/帯付

収録内容
DISC1 - 3 スタジオ録音
DISC4 & 5 ラジオ局での録音
DISC6 ライヴ録音
DVD テレビ番組の映像
ブックレット(68P)



2025年7月20日発売
MARIA TERESA DE NORONHA / INTEGRAL