アマリア・ロドリゲス/アルファーマ(3CD) すべてのイメージを表示 価格:4,950円(税込) [予約販売]: メーカー型番:VCR-45021 メーカーURL:ライス(Valentim de Carvalho) ツイート この商品について [問い合わせる] 説明 2025年12月7日発売新譜抑圧の時代、沈黙の中で紡がれた“古の言葉”未発表音源と幻のマケットを収めた3CD完全版──アマリア後期の傑作、ついに復刻! “ファドの女王”として知られるアマリア・ロドリゲス(192099)は、言うまでも無くポルトガルの大衆歌を芸術の域へと押し上げた不世出の歌手。1940年代にデビューし、深い情感と詩的表現によってファドに新しい命を吹き込みました。そのキャリアの頂点にして、芸術家としての真価を最も明確に刻んだ作品が本作『アルファーマ(原題;Cantigas numa lngua antiga=古の言葉による歌)』です。 1970年から1976年にかけて長期にわたり録音された本作は、アマリアにとって盟友アレン・ウルマン(Alain Oulman)との最後の共作となりました。ウルマンは、ルイス・デ・カモンイス(Lus de Cames)、ジル・ヴィセンテ(Gil Vicente)、マヌエル・アレグレ(Manuel Alegre)らポルトガル文学を代表する詩人たちの言葉を選び、独自の旋律を与えました。アマリアはその詩を声によって再生し、抑圧と変革の狭間で芸術の自由を貫いた象徴的存在となったのです。 本作が3枚組であるのは、彼女の創作の歩みを時系列で追うためです。CD1には1977年に発表されたオリジナル・アルバムと未発表曲、さらに“幻のマケット”と呼ばれる1973年の試作録音を収録。この「マケット(maquete)」とは、正式なアルバム制作の前段階として録音されたデモ・セッションであり、アマリアとウルマンが新作の構想を練るためにスタジオへ入った貴重な記録です。1973年11月から12月にかけて〈ヴァレンティン・デ・カルヴァーリョ〉・スタジオで行われ、フォンテス・ローシャ(Fontes Rocha/ギター)、カルロス・ゴンサルヴェス(Carlos Gonalves/ヴィオラ)、ジョエール・ピナ(Joel Pina/ヴィオラ・バス)らが参加しました。収録曲は「Alfama」「Rosa Vermelha」「Meu Amor Marinheiro」「Malaventurado」など、のちの完成盤に通じる重要曲ばかり。ところが翌年、カーネーション革命による政治的混乱の中で制作が中断し、この録音は半世紀ものあいだ未発表のまま倉庫に眠っていました。2020年代のアーカイヴ調査によってマルチトラック・テープが発見され、今回の3CD版で初めて公式に公開されたのです。アマリアとウルマンが“言葉と旋律”を探る創作の瞬間を生々しく伝えるこのマケットは、まさに本作の原点と言えるでしょう。 CD2と3には、1973〜76年にかけてのエンサイオ(リハーサル)と別テイクを年代順に収録。フォンテス・ローシャ、マルティーニョ・ダスンソーン(Martinho d’Assuno/ヴィオラ)ら名手たちとの緻密な対話を通して、アマリアが詩と感情の均衡を模索する姿を追うことができます。録音はすべて〈ヴァレンティン・デ・カルヴァーリョ〉・スタジオで行われ、マルチトラックのオリジナル・テープから新たにリマスター。とりわけ注目すべきは、“Malaventurado”(詩:ベルナルディン・リベイロ/Bernardim Ribeiro)の復元です。これまでのヴァージョンでは3つの詩節のうち中央の一節が編集でカットされていましたが、今回の再調査でアマリアが実際にはすべてを録音していたことが判明。新ミックスでは初めて完全版として収録され、楽曲の流れと詩の意味が本来の姿で蘇りました。 この時期のアマリアの声は、かつての輝きを保ちながらも、低く深い陰影を帯びていきます。技巧を超えた言葉の重みと沈黙の美が、彼女の“後期スタイル”を決定づけました。時代の喧噪の中でなお、音楽だけを信じて歌い続けたその姿勢は、今も聴く者の心を震わせます。 『アルファーマ』は、アマリアの創作の全貌を記録した決定的アーカイヴであり、ポルトガル音楽史に残る芸術的遺産です。半世紀の時を経て甦る“幻のマケット”と完全復元された“Malaventurado”──ファドの女王が残した至高の声を、ぜひこの3CD完全版で体験してください。●日本語解説/帯付き2025年12月7日発売AMALIA RODRIGUES / CANTIGAS NUMA LINGUA ANTIGA