デビューから13年、ライの天才が自身のルーツを見つめ直す意欲作を発表!
昨年はハレドやラシッド・タハなど世界を舞台に活躍するアルジェリア人歌手たちの新作が相次ぎましたが、ここにきてもう一人、重要な歌手の新作が発表されました。13年前、颯爽とフランスの音楽シーンに登場した男性歌手フォーデルの最新アルバムです。
フォーデル(本名:Faudel Belloua)は1978年6月6日生まれ。彼自身はパリ郊外のマント=ラ=ジョリという街で生まれたマグレブ移民の二世ですが、子供の頃は夏休みになると祖母が暮らすアルジェリア・オラン地方(ライの生まれた土地として有名)に行っては、そこでアルジェリアの伝統的な歌を習っていたのだそうです。そしてハレドやシェブ・マミなどが歌うライを人前で披露するようになったフォーデルは、いつしか「ライの天才少年」と呼ばれるようになりました。その後19歳でアルバム『Baida』を発表し歌手デビューを飾った彼は、その清潔感溢れるイメージも相俟ってアイドル的な人気を獲得。サッカー選手のジダンと並んで、フランスにおけるアルジェリア移民二世のスターとして脚光を浴びるようになりました。
またデビューの翌年(1998年)には、彼のアイドルでもあったハレドとラシッド・タハと共に“アン・ドゥ・トロワ・ソレイユ”という合同コンサートに出演。アルジェリアを代表するライやシャアビといった音楽を大先輩たちと一緒に歌って同胞たちから熱い歓声を受けたことは、弊社ライス・レコードが2年前にリリースした同名アルバム(WRR-3014)でも確認することができます。
そんなフォーデルが、自身のソロ作としては3年ぶりとなる新作をリリースしてくれました。今作のテーマはズバリ“ルーツ回帰”。デビューから13年が経ち、フォーデル自身の音楽的ルーツであるライやシャアビを中心としたアルジェリア〜アラブのスタンダード・ナンバーを見つめ直すという試みをここで行っています。冒頭にはシェブ・ハスニの歌唱で有名な「バイダ・モナムール」を収録し、ライの大先輩をトリビュート。またエジプトで育ちフランスで活躍した美貌の女性歌手ダリダが歌った「バンビーノ」や、アラブ=アンダルース音楽を語る上で欠かせないユダヤ系アルジェリア人歌手サリム・ハラーリの「シビ・ハビビ」も取り上げるなど、これまでに無かった意欲的な内容の作品と言えます。
デビュー当時から比べると随分と貫禄を感じさせるようになったフォーデル。いまもっとも脂の乗ったアルジェリア系男性歌手のひとりと言えるでしょう。要注目です!
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(myspace) こちらは公式HP